他人事ではありません!老後破産の現実~助かる方法(リセット)

老夫婦法的な考え方
老夫婦

老後破産の問題点

「老後破産」とは

ニュースなどで言われる「老後破産」とは、文字通り、老年になって経済的に暮らしていけなくなることを指しています。

特に、今まで普通に暮らしていた人が、退職した後、病気などをきっかけに貧困に陥り、路頭に迷う事態になり、社会問題化しています。

人生100年時代になったけれど、退職後の経済的支柱が年金と退職金だけでは、予期せぬことが起きたとき、対応ができず再起不能となるため、若い人と比べて、より深刻な問題となっています。

この問題に対しては、多くのところで、「老後破産」に陥らないために、とか様々な助言がなされています。

問題は、現実として老後破産状態になったときに、どのように対処すればいいかなので、いくら事前の防止策を聞かされても、救済されないことです。

老後の「破産」

一方、法律用語として言われる「老後の『破産』」は、老後に破産状態になった人が、法的な救済を得るために行う「自己破産」のことです。

自己破産は、裁判所に「破産宣告」をしてもらうための申立を行います。

この破産宣告申立は、若者であろうと老人であろうと、手続きは同じです。

もっとも、老後の破産は、社会の第一線での活動を終えているため、破産による影響が少ないです。

一方、「破産は恥」とか、「家だけは残したい」とか、プライドやこだわりがあり、手続きをためらうのが問題です。

破産法による救済

「破産宣告」と「免責許可」

破産法の第1条には、この法律の目的として次のように書かれています。

「この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。」

さらに、第253条第1項には、免責〈めんせき〉許可の決定の効力として「免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。」とされています。

これを簡単にまとめると、次のようになります。

【破産宣告】破産状態になった人=債務者(支払い不能、または債務超過にある者)

          ↓ ① 利害調整  ② 残っている財産の分配  

      人生をリセットする=経済生活の再生の機会

          ↓

【免責許可】残りの借金は返さなくてもよい

公平なバランス

つまり、借金まみれで、返還することができない状態となった人が、経済的に再生できるように、裁判所が手続きをして、債権者どうしや債務者との間を調整して、残った財産があれば公平に分配して、借金をこれ以上払わなくてもよい、と決定していくものです。

それでは、無責任すぎるとか、権利者には酷すぎるとか、の考えもあるかもしれません。

それらの批判を解消するような手続きが、破産法では決まっています。

例えば、力の強い債権者が、残っている財産をすべて取っていき、弱い債権者(従業員や下請け業者など)は何も取れない、ということがないように、公平な配当を決めています。

債務者についても、他に隠している財産はないか、直前にかたよった返済をしていないか、ギャンブルで浪費してないか、などを調べます。

一方、破産申立が正式になされると、債権の取り立てはなくなり、債務者にとって生活に必要な物も残され保護されます。

他にも、免責されない債権、優先的に配当を受けられる債権、なども定められています。

詳しくは、無料法律相談などで、尋ねるよいでしょう。

同時廃止(どうじはいし)

これという財産もない場合は、破産手続きの開始と同時に手続きが終わり、廃止されます。

これを「同時廃止」(破産法第216条第1項)と言います。

同時廃止は、期間も短く、予め裁判所に納める金額も少ないです。

多くの人がこの手続きを利用しています。

人生をリセットする思い切りを

早い決断を

年を取ってくると決断力が鈍ってきます。

また、長い人生を普通に暮らしてきたので、とても「破産宣告」など自分たちにはできない、との思いがあります。

恥ずかしくて、身内にも相談できないと隠す傾向もあります。

しかし、早ければ早いほど、残りの人生を再スタートできやすいのです。

新しくお金が入ってくる見込みもなく、多額の収入も期待できないので、行き詰まるのは必至です。

自己破産の申立てには、今までの事情や現在の財産や借金について、説明したり証拠をつけたりしなければなりません。

それらのことをするにも、気力がいります。

また、金額は少なくても、破産の申立には、お金がいります。

あと少し頑張ってから、と言っている間に、破産の申立すら難しくなり、坂を転げ落ちるように転落してしまいます。

注意点

破産宣告を受ける最大のデメリットは、クレジットカードが作れなくなる点です。

しかし、借金まみれなら、カードも止められるので、破産しようがしまいが同じです。

しばらく現金生活を送ると、早期に作れるクレジットカードもあります。

また、再度借金をしないためにも、作れない方がいい、との考えもあります。

破産しても、普通に暮らせますし、生活の必需品や一定の現金も残してもらえます。

路頭に迷うようなことはありません。

最終的には、生活保護制度などの福祉があります。

破産宣告を受けたことは、誰も言いふらしません。

身内も、責めることよりも、一緒に人生を再スタートすることを優先してあげてください。

他人事ではない

老後破産がニュースになるのは、他人事ではないからです。

特に、ギャンブルもせず、まともに働いてきたのに、老後になって食べていけなくなる、それが誰にでも起こりうるからです。

老後破産のきっかけが、誰にも起きうるからです。

原因を次のあげてみました。

  1. 収支の見通しが甘く現役時代と同じ生活を行った。
  2. 予期せぬ病気や事故に見舞われた。
  3. 慣れない事業に手を出して失敗した。
  4. 騙された。

特に、3、4は気をつけてください。

現役時代は、会社や接点を持つ人々から、情報を得たり守られたりしていたのです。

引退後は、それらがなくなり、自己判断に陥るから危険です。

フジイも、知人が騙された例を聞いています。

それはつぎのようなものでした。

「利殖をうたった投資に退職金をつぎ込んだが、その団体がつぶれた。」

「資格を活かして事業を引き継いだが、融資の借金の連帯保証人にされ、返済をさせられた。」

多額の退職金や預金が、あっという間になくなってしまいます。

気をつけてください。

これらのことをする前には、多くの人に聞いたり調べたりして、慎重に取り組んでください。

そして、豊かで快適な老後をお送りください。

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