組織内での目上にすぎない
敬意は序列と肩書きに対して
長年、会社人間を勤めると、肩書きが自分と一体化して、自分も偉いと思い込むものなのでしょうか。
部下が丁寧に接したり、取引業者が煽てたりするのは、組織内の地位に対してです。
その地位にある貴方の序列と肩書きに対して、敬意を払っているだけであった、素の貴方ではありません。
こんな分かりきったことを、会社が全ての生活を送るうちに、忘れてしまうのでしょうか?
退職後は部外者
どんなに功績のあった人でも、「去る者は日々の疎(うと)し」です。
だから、忘れられないように、上り詰めた人は、銅像や写真の掲示を好むのかもしれません。
トップにあっても忘れられるならば、普通の人は、なおさらです。
会社を去れば、もはや部外者なのです。
かつては、「○○部に△△あり」と言われた強者(つわもの)も、ただの市井(しせい)の人です。
貴方がいなくなっても、きちんと組織は別の人がその業務をこなして、動いていきます。
地位に固執する者も
先輩達の退職後の姿を見て、去らない方策を考える猛者(もさ)もいます。
不要なポストをつくったり、不要な別会社をつくったりして、おさまります。
あげくルールそのものを変えて、今の地位に居続けようとする人もいます。
あるいは、子飼いの部下を自分の地位に据え、「院政」を敷く人もいます。
年齢や期限で一律に退職を決めるのは、余人に代えがたい場合もあり、必ずしも良いとは限りません。
しかし、そうでもしないと、早く辞めてほしい人の場合、困ってしまうからです。
去り際は潔くありたいものです。
呼ばれていないのに出てくる
あからさまに拒否できない
記念式典や懇親会など、華やかな場に、呼ばれてもいないのに日時や場所を聞きつけて、毎年来る人がいます。
「他に行くところがないのか」と、皆は、憐憫(れんびん)の目でみています。
ただ、お祝いの席の他の来客もいる前で、事を荒立てたくないだけです。
見てみないふりをしているだけです。
内舘牧子の小説「終わった人」は、実によくできています。
退職後、招待状もないのに、会社つながりのパーティに乗り込む主人公が描かれています。
虚栄心と屈辱感が、よく描かれています。
映画化もされているので、ご覧になると「いるいる、こんな人」と思うこと、請負いです。
捕まえて離さない
そんな退職した呼ばれてもいない人に対して、皆、「触らぬ神に祟(たた)りなし」とばかりに、近づこうとはしません。
ところが、そういう人に限って、知った者を見つけて話し込むのが得意なので、困ってしまいます。
邪険(じゃけん)にするのも他の人の手前、はばかられるます。
少し会釈をしてかわそうとしても、捕まえて離さないのです。
尊大な物腰なので、若い社員などは、どこかの大切な人かと思って、ビールをついだりしてしまいます。
話の中身は、昔話や説教、あるいはかつての自慢話、相づちをうつのもうんざりなものです。
なぜ出てくるのか?
華やかな場に身を置いてみたいとの思いもあるでしょう。
かつて引き立てた部下に恩返しを期待しているのもあるでしょう。
でも、一度行ってみれば、いたたまれない気持ちになるのが、普通の神経のはずです。
フジイが目撃した人(Aさん〉は、毎年、出てくるのです。
何度か、嫌がらせ的なことをして、来ないように自覚を促したときも、あったようです。
しかし、効果がないと知って、放置してありました。
Aさんが、呼ばれもしないのにパーティに出てくるのは、見栄とハッタリによるものだと、フジイは思っています。
Aさんが、退職する前に、天下りのような形で、再就職した勤務先がありました。
そこに対して、「今までいた所から、今年もパーティに呼ばれている」と言っているのでしょう。
それは、見栄であると同時に、再就職先に「今も、前の所とコネクションがあるよ、私は」とハッタリをきかしているのでしょう。
つまり、今の再就職先での居場所と威厳の確保を図ろうとして、前の所の出身者であることをいつまでも武器にしているからなのでしょう。
いわば、「天下り先へのハッタリ」ともいうべきものなのでしょう。
ランチで蘊蓄(うんちく)を長々と
多忙な時間帯にウエイトレスを捕まえて
フジイは、かつてAさんに、仕事を振られて無報酬でしたことがあります。
そのお礼という意味か、食事をご馳走してくれることになりました。
ビジネス街のレストランのランチでした。
ウエイトレスの女性を捕まえて、長々と料理の蘊蓄(うんちく)を始めたのです。
お昼時なので、他にもお客さんが入ってきて、ウエイトレスの女性は忙しく、迷惑そうでした。
誰でも、自分の話は感心して聞くはずだと思い込んでいるようで、一緒にいたフジイは恥ずかしいでした。
レジでもめる
さらにその後、恥ずかしいことが起きました。
ランチですし、奢ると言われて来ているので、お礼を述べてレジから離れたところで待っていました。
すると、なにやらもめているのです。
少し近づくと声が聞き取れました。
何と、クーポンを持っていて、それを代金から引いてほしいと言っていたようです。
お店の人は、前もって言ってくれないと、精算のときには無理だと断ったようです。
たいした金額ではなかったはずです。
また、Aさんは、結構な給料をもらっていたはずです。
あまりの恥ずかしさに、その店には二度と行けないと思いました。
すてきな方は
自分の世界で成果を
Aさんの場合は、Aさん自身の人となりなのかもしれません。
Aさんの後輩でBさんがおられ、Bさんとは一緒に、フジイは仕事をしました。
Bさんは、退職後、自分が今までしてきたことをまとめ、本を出版されました。
とても役立つ本で、業界では人気となり、大変良く売れていました。
Bさんのような退職後の人生を、フジイは送りたいと思ったものです。
退職を機会に
以前の職場に未練がましくせずに、退職を良い機会と捕らえて、新しい世界に行ってみるというのも良いのではないでしょうか?
ただし、儲けようとか、凄い成果をだそうとするのは、危ないと思います。
今まで生きてきた延長上にしか、今の自分はないのですから、それを成果にするのは良いかと思います。
フジイは、ルーツをまとめてみたいと考えていますが、まだまだできそうにありません。
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