誕生日に決まってるじゃない!?
誰でも、「誕生日が来て、ひとつ年を取る」、そう思っていますよね。
ところが、法律では少し違うのです。
誕生日の前の日に、年を取るのです。
誕生日は、文字通り、その人が生まれた日という意味でしかありません。
例えば、誕生日のお祝いは、「20歳になった日、おめでとう」ではなく、「20歳になって初めての誕生日、おめでとう」なのです。
4月1日生まれの人は知っている
4月1日に生まれた人なら、小さいときから知っていると思います。
小学校は、暦で入学するので、4月1日から3月31日までが、1学年です。
学校教育法は、第17条1項において、「保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。」と定めています。
4月1日生まれの子は、その学年の中で、一番年上でしょうか? 一番年下でしょうか?
「4月1日から新学期だから、4月1日生まれの子は、一番年上になる」、そう思いますよね。
ところが、違うのです。
4月1日生まれの子は、同じ学年の中で、一番年下なのです。
同じ年の4月2日生まれの子は、翌年の4月1日から入学します。
たった1日違いで、学年は、丸1年違ってくるのです。
なぜ、こんなことになっているのでしょうか?
法律による年齢計算
年齢計算ニ関スル法律
「どんなことについても、法律がある」の典型です。
年齢を計算するのにも、計算方法につき法律があるのです。
それが、「年齢計算ニ関スル法律」です。
カタカナで書かれていることから、ずいぶん昔に成立した法律だと分かります。
明治35年に成立した法律で、今もなお現役で通用しているのです。
わずか3条しかなく、2条に年齢の計算法が書いてあります。
何と書いてあるか?
気になりますよね。
「民法第143条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス」
「計算方法は、民法に書いてあるから、それにならえ」
ざっくり言うと、そんな感じです。
とんだ肩すかしです。
やっと、宝物の箱を探したと思って開けたら、宝物はなく地図が入っていて、「×印のところへ行け」と書かれているだけ、みたいな感じです。
法律では、この「準用する」という言い方は、ひんぱんに出てきます。
ここまで来たら、行くしかありません、民法に。
民法第143条では?
民法第143条2項には、次のように書かれています。
「第143条2項 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。」
当てはめると
0時ジャストに生まれない限り、「起算日(誕生日)の前日に、期間は満了する」ことになります。
1歳は、生まれてから、1年が経過したときになります。
以後も同じに年をとっていきます。
すると、1年が経過して、年を取るのは、いつも、誕生日の前の日となります。
つまり、人は、誕生日の前日に年を取っているのです。
・4月1日生まれの子は、前日の3月31日に6歳になるので、「翌日以後における最初の学年の初め」は、翌日である、その年の4月1日から小学校に入学します。
・ところが、4月2日生まれの子は、前日の4月1日に6歳になるので、「翌日以後における最初の学年の初め」は来年の4月1日まで、約1年間待つことになります。
・つまり、4月2日生まれの子は、6歳になった日の「翌日」は、4月2日になります。それ以後に最初の学年の初めとなる4月1日は、よく年まで待たないと巡ってこないのです。
4月1日生まれではない人は、あまり意識したことがないかもしれません。
知り合いにおられたら、聞いてみるといいかもしれません。
フジイは、法律の資格試験を一緒に勉強していた友人が、4月1日生まれでした。
そして、この話をすると同時に、小さい頃の1年は大きいから人格形成に影響したというようなことを話してくれました。
今では、人より1年早く活躍できるのですから、メリットもあるように思いますが、どうでしょうか。
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