モノを所有もしない、レンタルもしない?
「所有と賃借、どっちが良い?」は無駄な問い
よく「自宅は所有が良いのか、賃借が良いのか」と言われ、見解が分かれます。
その問い自体が、もう無用になりつつあるのです。
「家」は人の一生を左右するほど大切なモノです。
買うのか、借りるのか、互いにメリット、デメリットを言い合って、譲りません。
それ以外の選択肢はないのでしょうか?
あります!
家だけではありません。
リユースを考える
「リユース」とは、「使用済みの物を、違う物に変えず、そのまま同じ用途に使う」ことです。
「再使用」のことで、中古車が分かりやすいです。
例えば、新車を500万円で買ったとして、貴方は何年乗りますか?
人によって、10年以上乗り続ける人と、次の車検が来たら、走行距離が3万キロメートルになったら、モデルチェンジがあれば、生活様式が変わったたら、乗り換える人がいます。
中古車市場も賑わっています。
試用車などは、走行距離も短くきれいのに新車に比べ、格段にやすくなっています。
税処理面のメリットもあって、中古車から始める人もいます。
一方、超高級車や限定車は、中古であっても値上がりする車もあります。
つまり、新車を購入して、ずっと乗り続けることを考える人は、モノを所有するといえます。
最初から、カーシェアリングやレンタカーを利用する人は、モノを賃借するといえます。
その間、リユースがあります。
つまり、最初からリユース価格、中古販売価格を見込んで新車を買うのです。
本当の価格は、その人が乗っていた期間、新車と中古の販売価格差、がそうです。
この考え方は、車だけではありません。
家はもちろん、絵画、事務機器、服飾品に至るまで、同じことがいえます。
環境省も積極的に、リユースを勧めています。
平成28年5月に環境省が作った「リユースを始めたい・広げたいあなたのための リ ユ ー ス 読 本」をご覧下さい。
「製品の使用年数が延び、ごみを減らせる」と歓迎しています。
フジイが注目しているのは、さらにその先、初めからリユースすることを見据えた購入です。
リユースとリサイクルの違い
リユースによく似た言葉として、「リサイクル」
人はなぜモノを所有したいのか?
「所有権」を万能にした近代民法
かつては、モノに対する権利(物件)には、多くの種類がありました。
明治維新により民法を作るときに、モノの対する完全な権利として所有権を作りました。
それ以前は、土地、とりわけ農地、山林、河川などに対して多くの権利が複層的に存在していたのです。
それを切り捨てて所有権を絶対的な権利にしたのは、近代民法をつくるために帰属を明確にする必要があったからです。
かすかに残ったのが、「入会権(いりあいけん)」(民法第263条参照)や「永小作権(えいこさくけん)」(民法第270~279条参照)ですが、それらの権利も自然消滅することを考えたようです。
「所有権」を得るしか方法がないため余分な権利もついてくる
そのため、モノを支配して自由にしようと思うと、「所有権」を得る必要が生じてしまったのです。
つまり、本来は、全ての権利を包含(ほうがん)する所有権までも要らないけれど、目的を達するためには、所有権を得るしかなかったのです。
その結果、モノを「買う」=「所有権」を取得する、ことになってきたのです。
所有権を得る結果、本来必要ではない部分まで、ついてきたので、逆に煩わしい部分がでてきたのです。
例えば、冬用の布団は冬だけあれば良いのに、「所有した」ために、夏も保管しなければなりません。
土日に家族と出かける時しかいらない車も、「所有した」ために、常時保管する駐車場や車両税など、保管や維持にお金がかかります。
権利を永久・完全な「所有権」ではなく必要な分だけの権利にする
モノの価値のうち、全部を支配する「所有権」ではなく、本当に必要とする権利だけがあればよく、その他の権利は他の人と共有したり分け与えることができれば、無駄がなくなります。
つまり、モノを完全にかつ永久に支配する「所有権」ではなく、分割して必要な人に、必要な部分を分配すれば、モノも生きてくるし、無駄な維持・管理が不要となってきます。
そのためには、債権としてリースにする方法、多くの人で共有する方法、必要な期間がすぎれば他の人に渡す方法などが考えられ、それらのシステムが発達する必要があります。
リースは、どうしても欲しい時期や物は重なり、完全な確保が難しい難点があります。
生活が一律ではなく、自由なライフスタイルが送れる世の中になることが必要です。
一方、リユースなら、高くても新品が欲しい人、安くお得に中古品を買える方がいい人、で棲み分けができます。
リユースありきで買う生活
所有のメリットとデメリット
モノを買って、「所有権」を得ることによるメリット、デメリットを考えてみましょう。
メリットの第1は、もちろん、いつでも、完全に、即時に、自由に使えることです。
リースならどうでしょうか?
自分が欲しい時期は、他人も欲しい。
自分が欲しいモノは、他人も欲しい。
その結果、取り合いになり、必要な時に確保できないことが起きます。
また、確保しようとすると、早くから手続きをしなければなりません。
メリットの第2は、壊そうが、変更しようが、誰かにあげようが、自由だということです。
リースや共有のモノなら、そうはいきません。
一方デメリットはどうでしょうか?
先にも書きましたが、第1にさほど使わないのに、維持、管理に費用や手間がかかりすぎます。
第2に、不要になったときに、場所をとり、じゃまにもなります。
リユースありきの所有
所有のメリットを活かし、デメリットを回避する方法はないものでしょうか?
あります!
それが、リユースありきで買う生活スタイルです。
完全な使用のために、いったんは買うけれど、再度売ることを考えて買う、というものです。
例えば、新車を買うときに、トコトン使い切るのではなく、一定期間使えば中古として売って、また新しい車を買うということです。
そのためには、再度中古として売れるように、価値ある物を吟味して、丁寧に使うことが求められます。
家や家具、貴金属から服飾、子どものおもちゃからレジャー用品まで、すべてリユースが可能だと分かります。
リユース市場とツールの発達
このような生活が可能となってきたのは、最近です。
やっと、モノには「所有権」しかない、との呪縛(じゅばく)から離れられます。
業者を介さなくても、介したとしても法外な手数料を取られたり、買い叩かれることなく、再販売ができるようになったからです。
ITの発達が欠かせません。
そして、価値観も変化したのです。
「欲しい物は買って所有して使えなくなるまで使う」ではなく、「必要な時だけ所有して後は高値で再販売する」「状態の良い物が中古というだけで安くお得に買える」リユースになっていくのです。
「不要な物をもたない」快適な生活にもつながります。
リユースを見据えた生活を送ってみませんか。
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